ロングライド低予算(準備)|RIDE
最近、自転車で旅をするのが流行っています。
たくさんの荷物を積んで気ままに一人で行けるところまで旅する。
自然を感じながら、先々で人と触れ合ったり、もしくは一人の時間を充分に旅する。ロマンです。
ですが、雑誌の影響なのかメーカーの影響なのか。
どうしても高級バイクに高級装備。快適なアイテムを集めてリッチな人が行う趣味のような印象もあります。
貧乏人は優雅な旅ができないのか。
実際はそんなことはありません!!
予算の使い方をじっくり考えて、投資するポイントを間違えなければ充分快適な旅が待っています。
私は2015年に片道ゼロ泊で230kmの低予算自転車旅を行いました。
その経験をもとに、みなさまを低予算自転車旅にいざないたいと思います。
低予算と言うのは、
- 格安バイク
- 格安装備
- 格安ウェア
- 軽食
- 現地まで宿泊なし
こういう事です。宿泊先は実家や友人宅などにします。宿泊代が浮きます。旅は経過を楽しむのです。
バイクの種類を選択する。
まずは肝心なバイクの選択です。 バイクと言ってもオートバイは高価です。ガソリンも消費します。ここはもちろん自転車を選択します。
ただ自転車には様々な種類があります。旅バイクで悩むのは大体この3種類だと思います。
- マウンテンバイク
- クロスバイク
- ロードバイク
この3種類で迷うと思います。確かに旅をしている方は大抵この3つだからです。
私がおすすめしたいのはロードバイクです。理由は簡単です。そもそも長距離向けに作られたバイクだからです。
ツールドフランスはご存じでしょうか?私も大して知りませんが、名前はたくさんの方が知っています。
ロードバイクに乗って200キロ前後の距離を毎日走る競技です。
マウンテンバイクは、舗装されていない山道をスイスイ登ったり下りたりするため、そういう競技のために作られたバイク。
クロスバイクはそのマウンテンバイクをベースにオンロード化(舗装路面対応)させたバイクです。
選択すべきバイクは必然的にロードバイクになると思います。
特にロードバイクは車重も軽いものが多いので、そこも長距離走行では疲労度がかなり変わってきます。選択する際は車重は注視してください。
ただし、ロードバイクは高級品になりがちです。軽量なクロスバイクがあった場合は比較してクロスバイクを選択するのも選択肢としては残しておきましょう。
ただ、クロスバイクはハンドルがドロップハンドルではないため、長距離走行で疲れた時にポジションが変更できず、肩こりなどの痛みと戦うことになります。できるかぎりはロードバイクで探してみましょう。
また、有名メーカーじゃないとバカにされたり敬遠されたりします。
これについても、予算があるならそりゃそっちのほうがいいとは思いますが、当然そこまでお金が出せない方もいます。ロングライドは自転車1台だけでは成立せず、このあと紹介するたくさんの装備が必要になります。その予算も考えてできるだけ抑えましょう。
よく世間から言われる「なんちゃってロードバイク」でも、選択を誤らなければちゃんとロードバイクとして使えます。
その選択方法も後から説明していきます。
ロードバイク選び
低予算で行きたい方は「なんちゃってロードバイク」から選択することになります。私もそうです。
ブランドバイクに乗る人が良く言うのが「ブランドバイクがF1なら軽自動車で挑むようなものだ」と言います。
それはその通りです。
ただ、軽自動車も4人乗れてエンジンがついて屋根もあります。
自転車旅は誰かと競う訳ではないので、安全な速度でしっかり準備して行えばブランドバイクでなくても充分可能なのです。
しかし、選択は間違えないようにしないといけません。中には、ただドロップハンドルをつけただけの軽快車も存在するからです。
ロードバイクには規格があり、ほぼ世界共通です。つまり安いバイクでも部品は共通で使用できます(イタリア規格とJIS規格とか細かいことはあるんですがそれは割愛)。この共通規格で作られているバイクなら、たとえノンブランドでもそれはロードバイクなのです。
私の中でここだけは守ってほしい見極め方をお伝えします。
ちなみにロードバイクには現在、リムブレーキタイプ(ホイールをゴムで挟むブレーキ)とディスクブレーキタイプが存在するのですが、安価なリムブレーキタイプのバイクで紹介します。

1.前後のホイールがクイックレバータイプのホイールになっている。
これがまず一番のポイントです。クイックレバータイプは簡単にホイールが外せるようになっています。ツールドフランス等の競技中にパンクした時、すぐにホイールを交換できるようにするためです。
実際に自分で自転車旅をする場合でもパンク修理などがその場で対応できるようになります。確認必須の項目と言えます。


左側の写真が見ずらいですが、前輪も後輪も黒いレバーがあると思います。これを緩めて抜き去ると車軸が抜けてホイールが外れる仕組みです。
安い「なんちゃってロードバイク」は前輪だけクイックというパターンが非常に多いです。それだと、旅先で後輪がパンクしたらその場で旅終了となってしまいます。
そして、このクイックレバーが前後に対応しているかどうかで、そのバイクの規格がロードやマウンテンの正規規格に適合しているかが分かります。 もしそうなっていなければ、それはスポーティな姿をした、ただのママチャリです。
2.コンポーネントを確認する
ロードバイクに取り付けられている、ギアを操作するレバーやディレイラー類、ブレーキキャリパーなどを総称してコンポーネントと呼びます。
これらがちゃんとしたメーカーのものかを確認してください。ロードバイクを購入する場合、正しいロードバイク用コンポーネントになっているかという事です。安く出ているロードバイクの場合、自然と求めるものはシマノになります。シマノのロード用コンポは数種類あります。
下のグレードから順に、クラリス(claris)、ソラ(SORA)、ティアグラ(Tiagra)、105、アルテグラ(ultegra)、デュラエース(DURA-ACE)となります。必然的に入門用のクラリス(8速)、ソラ(9速)あたりを狙うこととなります。
また、クロスバイクで検討している方はコンポはマウンテンバイク用となります。アルタス、アリビオ、デオーレなどです。
それと、共用コンポーネントとして最下層グレードのターニーというのもありますが、このグレードの場合、ボスフリータイプといって後輪がクイックレバータイプではなくなってしまうので、たとえシマノだといっても長旅用バイクとしてはおすすめしません(ターニー自体は信頼置けますが)。
良くチラシなどで14速!とか18速!とかあると思いますが、あれはフロントギアを含めて掛け算していますので惑わされないようにしてください。
例えば良く軽快車についているターニー(6段変速)に、フロントギア3枚のマウンテンバイク用のギアを付ければ、3×6で18速となります。
SORAコンポ(9速)のロードバイクの2×9で18速なのとは意味が全然違いますので注意しましょう。



写真は旧ティアグラグレードのフロント2枚、リア9速です。ロードバイクはフロントギアは基本2枚です。STIと呼ばれるハンドルの握り部分はシフトレバーとブレーキが一体になっていて、昔はいろいろありましたが今は一体型が主流です。
フロントギアは変速機(フロントディレイラー)はシマノですが、ギア(クランク)は無名となっています。これは安いロードバイクに良くあることで、できればシマノに越したことはありませんが、これでもギリギリOKです。
ギア比
ギアも重要です。これは店員さんに確認しながら決めていきましょう。
フロントギアが大きければペダルは重く、高速仕様。小さければ低速仕様。
リアのギア(スプロケット)が大きければ低速仕様。小さければ高速仕様。となります。
理想的なのはフロントはコンパクトクランク(50-34T)、リアは最大ギアが28T以上。できれば30~32Tが最大ギアだと初心者でも峠が楽になります。
車重
これは自転車の永遠のテーマです。100g1万円の法則などと言われることもあり、軽くする=高級という図式です。
ただ、技術革新が進みどんどん軽量になってきています。最近は安価なものでも10kgに迫るバイクもありますので、購入の基準として10kgを目指してそれにできるだけ近づけていくような選択をしていくといいと思います。
重量はそのまま疲労につながりますし、いろいろ積載するものも増えるためどうしても重量は増します。軽いに越したことはありません。
そこで自転車界では良く、素材談義となります。クロモリ、アルミ、カーボン、チタンなどです。
安価ななんちゃってロードバイクの場合、スチール、アルミ、アルミ+カーボン。このあたり。
スチールというのはママチャリと同じ素材。見た目だけバイクに多いので選択から除外すべきです。
おすすめはアルミフレームで、フロントフォークのみカーボンという、カーボンフォークタイプのロードバイクがあります。
それだと低予算で、しかも前輪の振動吸収性が高まるので長距離での疲れも軽減してくれます。
オールアルミバイクでも車重が増えるわけではなく、そちらのほうが低価格の場合も多いので、あとは予算の都合となります。
ただ、オールアルミバイクは振動をもろに受けるので、タイヤを少し高級にするなど予算が必要になります。
実際に使用したバイク

武田産業AEROFIX,CR-3301
フレーム類(フォークやシートポスト、ハンドル周りに至るまで)すべてアルミ素材。
メインコンポーネントは4500系TIAGRA。
ブレーキはノンブランド。
スプロケットはCS-HG50 9S 11-25T
ホイールはjalco DRX-4000 ここまでの標準装備で車重は11.5kgほどの重量。
処分価格で43,000円でした。
<改造ポイント> BB(ボトムブラケット。クランク軸部分のパーツ)をBB9000、クランクをアルテグラFC-6650,50-34Tに変更してあります。
ペダルはSHIMANOのSPDペダルPD-R540-Sです。
タイヤも少し奮発しましてコンチネンタルGP4000S2 23Cを履いています。
投資額は総額で30,000円くらいになるかと思います。
この投資は単なる自己満足的な部分が多く、本当ならギアスプロケットを28Tに替えるべきでした。それだけで山道が楽になります。
装備品紹介
今度は装備品の紹介です。実際に私が使用した物を参考に解説していきます。
ライト類(フロントライト)
長距離を走るなら日が落ちる可能性は否定できません。
事故を防ぐために、ライト類に対してしっかりと予算を投入する必要があります。
まずはヘッドライト。自転車の長距離旅の場合、ライトはひとつではNGです。
メインライトに加えて、セカンドライト、さらにLEDのポジションランプそれとヘルメットにもヘッドライトを装備しています。
(ヘッドライトについては後半のヘルメットの説明で)
ホイール周り

ハブランプホルダー(1,000円くらい)をホイール軸であるクイックレバーの先に取り付けてあります。
ハブランプホルダーがあれば、写真のようにホイール軸にライトを取り付けることが出来ます。
ホルダー部には補助ライトとして娘からの借り物のライト(CATEYE)をつけてあります(1,800円くらい)。かわいい。
フォークにつけてある青いライトは100円ショップで購入したLEDポジションランプです。補助ライトの補助。
点滅させて対向車に存在をアピールします。
リアライト(赤色灯)は、ポジションランプのみになりますが、ヘルメット後部、サドルバック、フレーム2箇所といった、かなりの箇所に装備しています。リアライトについては他の説明のときに説明していきます。
グレード的にはこれらのようなものです。
ハンドル周り

メインライトです。キャットアイのHL-EL540RC(前照灯)。これはお金が掛かっています。
4000カンデラ(光の強さ)でとても明るいですし、本体に充電機能も備え、さらにバッテリーは単三の規格。
緊急時には乾電池でも対応できるところが旅向き。
メインライトについては夜間運転時の視界確保となりますので、しっかりとしたものを準備しましょう。ライトは長距離旅の要です。
ちなみに前面にはBBBのフロントバックを付けています。
Y’sロードで処分品でした。元値が5,000円のところなんと500円。塩飴やメモなどが入ります。
現在のラインナップだとこの辺りになります。最低でもこの辺りが必要なんです。ライトだけはケチらずにいきましょう。
ヘルメット

ヘルメットはRAZERのブレイド。安価で軽量です。現在アジアンフィット(日本人向けの型)があるのでかぶり心地も良いです。
そこにバイクガイのポジションランプを前後につけました。計10,000円ほど。
サイクルコンピューター

サイクルコンピューターはBIONという謎の台湾製。ですがワイヤレスで、距離や測度だけでなく、気温や高度計もあります。
サイクルコンピューターはさまざまな種類が出ているので、ズバリこれ!!というのはなかなか個人差もあり難しいですが、最低欲しい機能として、
- 時速
- 最高時速
- 走行距離
この3つは欲しいところです。これがあるだけでロングライド時のモチベーションが全然違います。他にも時計機能や気温計が付いていると更に便利です。有線型(センサーと本体が繋がっている)であれば1,000円台からでも手に入るので、サイコンはなにかしらは購入しましょう。
最近の私の一押しは、激安GPSサイコンのXOSS G+です。GPS搭載だと、センサーを取り付けなくても計測が可能であり、さらにスマホのアプリと連携させればログが取れるので、旅の道順を後から振り返ることもでき、楽しさ倍増です。拡張性があるG+と、拡張性なしの廉価版Gがあります。おすすめは絶対気に入ると思うのでG+を推します。ひとまず本体だけ購入しておけば旅は出来ます。
G+であれば、無線スピードセンサー(速度計測機)を拡張できます。これをつけることでより精密な速度計測が可能になります。
また、ケイデンスセンサー(ペダルの回転数を計測)も取り付け可能です。
さらに心拍センサーも取り付け可能で、特に心拍センサーは体力消耗をせずに効率的なライディングをするのに大変有効です。
贅沢なロングライドを楽しみたい方にはフルセットでご準備いただくと良いと思います。
フルセット販売もやってます。いきなり購入するのは度胸がいるお値段ですが。
その他収納品(バッグ類など)
まずはフレーム中心部です。

ドリンクホルダー周り。ドリンクホルダーはカブトのプラスチック製。
ひとつにはキャメルバックのボトル。もうひとつにはオーストリッチの輪行袋をセット。
まずドリンク用のレースボトルは、とにかくキャメルバックのを買っておけば間違いないというのがあります。若干の保冷機能もあり、強度も高く長持ちします。ただ、ボトルはピンキリなので好みで選んでもまぁさほど問題はないかと思います。
次に輪行袋です。これはもし旅先のアクシデントで断念せざるをえなくなったときに、自転車を収納し公共交通機関で帰宅するためのアイテムとなります。高価なものなので買わずに済ませたいところですが、どうしても長旅はパンクや故障、ケガなどに見舞われる可能性が否定できないため、購入を検討する必要があります。オーストリッチの輪行袋は定評があり、さらに220というタイプ(写真の物)だと重量と強度のバランスが取れていて、袋に収納するとちょうどドリンクホルダーサイズになります。おすすめです。
次に、トップチューブに「どこでもドリンクホルダー」を取り付け、そこに幅が自在に調整できるトピークのドリンクホルダーに予備チューブをベルクロで固定してセットしました。特にトピークのモジュラーケージですが、幅を調節出来て挟み込めるのでドリンク以外のものにも便利に使えます。



↑このようにタイヤレバーや予備チューブを固定しています。
シートチューブにはブリジストン製の大きめのモバイルポンプ。モバイルポンプも小型軽量いろいろあるのですが、長旅である点を考慮し、ここは重量よりもしっかり空気を補充できる点を重視しました。展開すると、自宅用のポンプと同じ形になるので、小さいながらもしっかり足で固定して両手で押し込みながら空気を入れられます。
ロードバイクのタイヤは高圧でないといけないので(6~7気圧)、力が必要になります。
サドルバッグ

リア周りです。オルトリーブサドルバックLを装備しています。色はスレート。現在のモデルはさらにかっこよくなってます。
そこにリアランプ、チェーンステー部にはダブルでバイクガイのランプを取り付けてあります。
日の出前に出発する計画なのでライト類は充分過ぎるに越したことはありません。
サドルバックの中身

- 携帯リュック:蛍光イエローで夜間目立ちます。広げると背中に背負えるリュックになります。軽量でとても便利
- ハサミ:あれば何かの時には役に立ちます。長距離旅にはこういう準備が必要になってきます。
- ポケットティッシュ:これも意外と無いと困るのです。
- マスク:邪魔にはならないので携帯しましょう。
- 結束バンド:これも応急処置とかなにかと役に立つ事があります。
- 携帯工具:これがないと話になりません。必携です。
- 充電電池:ヘッドライトの充電が切れたとき用の予備です。コンビニで対応できなくもないです。
- ヘッドライト用充電アダプター:これは持ちきれない場合は無くてもいいかもしれません。
- 軍手:防寒にもなるし作業時にも使う。軍手は便利です。
- 予備タイヤ:これが一番かさばりますが、なきゃないで不安。サイドカットパンクをしたら旅を諦めるなら置いていく場合も。
- 短パン:レストランで食事をしたい場合にはあったほうがいいです。
- 巾着袋:これもあるといざというときに助かりますし、内袋としても役に立ちます。
- ワイヤーロック:これも必携ですね。
- 輪行袋の説明書:不慣れなのでこれがないと・・・。
- クリートカバー:靴底のこと。店内入出時のマナーです。クリートのままだとガチャガチャうるさいのです。
服装

シューズはSPD用のシューズ。これも格安品です(5,000円程度)



服装は安価なサイクルジャージの上下セット。そこにアームカバーとレッグカバーで調整する形です。
さらにメッシュインナーを上半身に着込んでいます。メッシュインナーを含めて合計10,000円程度。


さらに上半身にはSHIMANOの-5℃用の極寒用ジャージも着込みました。暑くなれば携帯リュックに収納する予定です。
グローブは指切りタイプ。軍手を持ってきているので、寒さを感じるならば軍手を装備しようという作戦です。
ジャージは半額セールで5,000円でした。グローブは1,500円。合計6,500円。